油圧ブレーキ採用のコンポーネント交換において、難易度が高い作業といえるブリーディングについて手順を追って解説します。
目的
ブレーキシステム内の空気を排除し、ブレーキレバーの感触を改善するために行います。
油圧ブレーキのブリーディング作業手順
ブレーキフルードの準備
取付するブレーキシステムに対応した適切な種類のブレーキフルードを準備します。
シマノGRXシリーズに推薦されているブレーキフルードとしては、シマノ ルブリカント ミネラルオイルとなります。
シマノ(SHIMANO) ルブリカント ミネラルオイル(500ml) BR-S7000 Y83998030
ブレーキシステムの点検
ブレーキシステム全体を点検します。
ホースやパッドに傷や損傷がないか、キャリパーとホースの接続部分に破損がないかなどを確認します。
オイル交換の場合は、オイルの漏れやホースがしなっていたり、亀裂が入っていないか確認します。
シマノ(SHIMANO) 工具 TL-BR プロフェッショナル ディスクブレーキブリードキット Y13098630
オイル排出袋の準備
ブリーディング作業に必要となる排出オイルを流し込むための袋を作成しておきます。
チューブをテープでビニール袋に固定し、チューブから流れ出たオイルが漏れないようにします。
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オイルを流しこむことができれば、容器などでも問題ないです。
STIレバーの準備
STIレバーのブラケットカバーをめくり、ブレーキフルードタンクのねじを外します。
ねじが取り付いていた部分にじょうごをねじ込んで取付けます。
シマノ (SHIMANO) 工具 TL-BR002 じょうご ロードSTIレバー用 Y13000090
じょうごの取付角度(ハンドルの角度)は、地面と平行になるように取付けます。
平行にすることで、注入時にミネラルオイルがこぼれるのを防ぎます。
SHIMANO(シマノ) ブリーディングスペーサー Y8CL18000
ブレーキキャリパーの準備
ブレーキキャリパーにスペーサーを差し込みます。
ブレーキキャリパーのピストンをスペーサーで押し戻して、動かないようにします。
シマノ(SHIMANO) BR-R9270 BDGスペーサー Y2HW15000
これにより、新しいパッドを取り付けるための十分なスペースが確保できます。
シマノ(SHIMANO) GRX BL-RX600L/BR-RX400R 1700mm 左後 JKIT/レバー・キャリパー・ホース・オイル充填セット JKIT オイル充填済み・キャリパー側にホース接続済
ブレーキフルードの注入
ミネラルオイルを注射器に充填します。
ブレーキキャリパーのブリードねじを緩めブリードボルトを取外し、ブリードニップルにチューブを取付けます。
注射器でミネラルオイルをホースに送り込みます。
注入していくと、ミネラルオイルがじょうごの底から沸き出てきます。
シマノ(SHIMANO) GRX ST-RX815L/BR-RX810R 1700mm 左後 JKIT/レバー・キャリパー・ホース・オイル充填セット JKIT オイル充填済み・キャリパー側にホース接続済
じょうごにオイルがある程度たまったら、ブリードねじを締めブレーキレバーを数回握ります。
これにより、STIレバー、ブレーキキャリパー、ホース内にたまっていた空気を追い出します。
たまっていた空気は、じょうご内に気泡として出てきます。
SHIMANO(シマノ) GRX サブブレーキレバー BL-RX812 右レバーのみ ハイドローリック 中
ブリードニップルを締め、シリンジのチューブを取外します。
次に、先ほど準備したオイル排出袋のチューブをブリードニップルに接続し、ブリードニップルを緩めます。
緩めると気泡を含んだオイルがチューブへ排出されます。
気泡が出なくなるまでオイルを出します。
注)じょうご内のオイルが空にならないよう継ぎ足しながら行います。
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この時、ブレーキホースを軽くたたいたり揺らすことで気泡が出やすくなります。
気泡が出なくなれば、ブリードニップルを締めます。
シマノ(SHIMANO) GRX BL-RX810L/BR-RX810R 1700mm 左後 JKIT/レバー・キャリパー・ホース・オイル充填セット JKIT オイル充填済み・キャリパー側にホース接続済
さらに、STIの角度を変えてこの作業を繰り返し行い空気を完全に追い出します。
オイル交換作業の場合は、ブレーキフルードが透明になるまで繰り返します。
気泡が出なくなれば、ブリードニップルを締めシリンジのチューブを取外します。
じょうごに栓をしてSTIレバーから取外します。
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ブレーキシステムの確認
キャリパーに挟んだスペーサーを外して、ブレーキパットを取り付けます。
注意)油圧ディスブレーキの場合、ディスクローター及びスペーサーを挟んでない状態でブレーキレバーを握るとブレーキパットが飛び出し、戻らなくなるため注意が必要です。
ホイールを取り付け、ブレーキレバーを数回操作してブレーキが正常に機能していることを確認します。
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STIレバー、キャリパー、ホースに異常がなく、接続部からオイル漏れがないか確認します。
レバーを引いた時、あたりが無くスカスカでブレーキが正常に作動しない場合は空気が抜け切れていないため、ブリーディング作業のやり直しとなります。
レーバーが適正な引き量で正常にブレーキが作動すれば、ブリーディング作業は成功です。
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まとめ
油圧ディスクブレーキのブリーディング作業は、コンポーネント交換などの作業と違い、専用の道具やオイルを使うため、難易度が上がると思われがちです。
しかし、一つ一つの作業を手順の通りにしっかりと確認しながら進んでいけば、問題なくできる作業です。
とはいえ、自転車は命を預ける乗り物です。
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誤った作業手順によってブレーキシステムに損傷を与えたり、走行時に危険な状況を引き起こしたりする可能性も十分あるため、自分で作業を行うときは自己責任となります。
いかがでしたでしょうか?油圧ディスクブレーキのブリーディングについて、実際に作業してみての手順や注意点を紹介させていただきました。
これから作業をしようと思われている方の参考になれば幸いです。
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次回は、キャリパーブレーキと油圧ディスクブレーキの違いについて、走行インプレッションを交えて紹介します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。